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リターン|五十嵐貴久を読んで

五十嵐貴久「リターン」 読書感想文

あらすじ

リターンは、『リカ』の事件から続く物語。
前作で強烈な印象を残した雨宮リカという存在。その狂気は終わったはずだった――しかし物語は別の視点、別の人物を通して再び動き出す。
過去の出来事と新たな関係性が交錯しながら、“リカ”という存在の本質が、より深く、より歪に浮かび上がっていく。


感想

前作『リカ』とは、明らかに様子が違う。
同じ人物を描いているはずなのに、受ける印象がまるで別物に感じるのが面白い。

前作ではただひたすらに“怖い存在”だったリカ。
でも今作では、その中にある妙に純粋な部分が垣間見える。だからといって安心できるわけじゃなく、むしろその純粋さが狂気と結びついている分、余計に怖い。

そして何より、この作品は“気持ち悪い”。
いい意味で、だ。
読んでいると、臭いや湿った感触みたいなものがリアルに伝わってくる。文章なのに五感に訴えてくる感じがあって、それがじわじわと不快感と恐怖を増幅させていく。

読みやすさは相変わらずで、今回も一気読み。
ただ、読み終わったあとの後味は前作以上に重たく、そして不快で、しっかりと記憶に残る一冊だった。


考察

『リターン』は、“恐怖の質”を変えてきた作品だと思う。

前作『リカ』がスピード感と執着による恐怖だとすれば、今作はもっと粘着質で、じっとりとまとわりつくような恐怖。
その中心にあるのが、リカという人物の“純粋さ”だ。

普通なら救いになり得るはずの純粋さが、この物語では逆に恐怖の核になっている。
歪んだ価値観の中で一切ブレないその姿勢は、もはや一種の信念のようであり、それが周囲を巻き込んでいく様子は異様としか言いようがない。

また、五感に訴えてくる描写の多さも特徴的だ。
視覚だけでなく、臭いや感触まで想像させることで、読者はただ“読む”のではなく、“体験させられる”。この没入感が、不快さと恐怖を何倍にも増幅させている。

『リターン』は、単なる続編ではなく、“リカという存在の解像度を上げる作品”だ。
そしてその結果、彼女はより人間らしく、同時により恐ろしい存在へと変わっていく。


ネタバレ

全9冊の長いお話だけど、この時点でリカが死んだ。
この後どうなるんだ?
もしかして死んでないとか????そんなバカな。。。。
リカの誕生秘話とか?
SAWみたいに後継者が生まれるとか?
楽しみである。
引き続き読み進める。

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