先日読んだ「19歳」はかなり衝撃的だった。
犯罪ドキュメントというジャンルを久しぶりに読んでガッツリのめり込んだ。
この本をキッカケに犯罪ドキュメントをもう少し読んでみたいと思った。
そして真っ先に読んだのが本書である。
「19歳」のあとがきに本書のことが記されていた。
なんと著者である週刊誌記者が取材を通して警察よりも早く犯人に辿り着き逮捕に至るらしいのだ。
え、そんな映画みたいな話あるの???
これが本作を読む動機である。
本事件をきっかけにストーカー規制法が制定されたほど、日本中を驚かせた事件らしい。
しかし残念ながら本事件のことはほぼ知らない。
覚えていないというレベルではない。
全くと言っていいほど知らない。
という前提で本作を読む。
1999年10月26日に埼玉県桶川市で発生した女子大生路上刺殺事件。
被害者の彼女は、付き合いのあった男からのストーカー行為に悩んでいた。
その嫌がらせは酷いもので、何度も警察に相談をしていたが相手にしてもらえず。
ストーキングを世に知らしめ、そして警察のずさんな対応や隠蔽工作が明るみに出て、さらには警察の情報操作にまんまと踊らされたマスコミ批判にまで話が及ぶ。
まず本作を読み終わってからネットで「桶川ストーカー殺人事件」を探してみた。
様々な情報が出てくるんだけど、その中でも一番気持ち悪く目を引いたのが、事件発生時に開かれた埼玉県警上尾署による記者会見の動画。
ヘラヘラと笑いながら話すこの動画は確かにYoutubeか何かでみたことがある。
なんで殺人事件の会見で、こんなに冗談を言ったり笑いながらできるんだろうと、とても不愉快な気分になったのを覚えている。
そうかぁこの事件の会見だったんだ。
「彼女は3度殺された。殺人犯と警察とマスコミに。」
という言葉がものすごく重い。
警察の態度とマスコミの嫌な部分がとことんクローズアップされる本作。
まず本書の最大の見所は、筆者が取材から実行犯を特定し、居場所まで見つけて警察にその情報を伝え逮捕に至るところ。
その次に殺人の依頼をしたとされるストーキングをしていた男を追うところ。
それから警察のずさんな操作と隠蔽工作の露呈。
そして警察の言うがままに嘘の情報を報道していたマスコミ。
この事件から様々な膿が噴き出す。
この筆者はすごい!
記者って仕事を少し見直しました。
こんな映画みたいな話ってホントにあるんですねぇ。
しかし、この事件を風化させてはならない。
いろいろと日本が変わるきっかけを作った事件として、ずっと語り継がなくてならない。
したがって、この本は皆読むべきだと思う。