トライロバレット|佐藤究 を読んで

佐藤究 著「トライロバレット」 【読書感想文】

▼あらすじ
舞台はアメリカのユタ州にある高校。
学校ではいじめられている17歳のバーナムは三葉中の化石コレクター。
鬱屈した生活を送る高校生バーナムの思考が次第に歪んでいく。

▼感想
さすが佐藤究!
AnkやQJKJQほどの完成度ではないけれど、さすがとしか言いようがない。
徹底した世界観づくりが秀逸。

アメリカのハイスクールを完全に熟知しているような物語の進行。
正直、洋物の小説や海外が舞台の小説は苦手だ。
なぜならば聞きなれない言葉、理解できない言葉や習慣が出てきて理解できないことがあると物語を追う以外の部分に意識がいってしまうから。
特にカタカナで出てくる言葉が普通名詞なのか、地名なのか人名なのかすら分からないことが多く非常に困る。
そんなわけで洋物はあまり読まない。

で、本作もアメリカが舞台なので最初は戸惑った。
ましてアメリカのハイスクールがどんなところかも知らないので、最初は困った。途中で断念しようかとも思った。
だけど佐藤究を信じて読み進めてみた。
そしたらやはり面白かった。
まぁ短い作品だったしね。

ここから先は少しネタバレになっちゃうから、これから読もうという人は気をつけて読んでね。
簡単にいうと、主人公の少年がアクティブシューター(銃乱射無差別殺人犯)になるまでの思考の過程が綴られている作品だ。
実にリアル。
自分でもそんな事件を犯すことになるのか確信が持てないまま準備を進めるあたりとか、自分がいじめられている時の心理とか、本当にこの佐藤究という作家さんは、人間の心理を奥深くまで知り尽くしている作家さんなんだと思う。

書き下ろし作品ってことで短かったけど、佐藤究を楽しめる作品でした。

created by Rinker
¥748 (2025/03/14 16:54:01時点 楽天市場調べ-詳細)

タイトルとURLをコピーしました