火刑都市|島田荘司 を読んで

島田荘司 著「火刑都市」 【読書感想文】

久しぶりに島田荘司を読んだ。
30年くらい前は御手洗潔シリーズを貪るように読んでいたなぁ。
所謂本格派ミステリー。

本作も伝統的な本格ミステリー。
主人公はミステリー小説によく出てくる探偵とは違って現役刑事。

刑事という設定が探偵という設定よりも事件への関わり方がリアルで、他の事件に携わりながらも頭の片隅に本事件のことがあり、そして時の経過に合わせてジワジワと点と線が繋がる。

様々な考察を一つ一つ消去していく思考も読んでいて実に面白い。

一つ残念な点は、僕が東京の土地勘と江戸の歴史に疎いということ。
この辺りの知識があればもっと面白かったんだろうなと思う。

しかし携帯がない時代の話を読んでると、実に不便感を思う。
携帯がなかった頃、僕らは不便さを感じないまま生活をしていた。
人と会う約束をしたら「まもる」事が当たり前だった。
携帯を持つようになってから「何かあれば連絡すればいいや」という思いから、約束に対して「まもる」熱量が薄くなっているんだと思う。

そんな時代に生きる人たちの価値観みたいなのも行間から感じる良品でした。

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