自宅には本屋や古本屋でとりあえず読みたいと思った本を購入して常に何冊か積んである。
積読本の中から読む順番は様々。
急いで読みたくて購入した本は積読本には全く手をつけず真っ先に読むし、積読本の中から不意に読みたくなって読み始める本もある。
買うのはいいが読む順番は全く決まっていない。
そんな事だから、もちろんいつまでも積読本の中にとどまり続ける本もあって、そうなるとなぜこの本を購入したのか理由もわからなくなってしまう。
この「東京島」はそんな本だ。
購入の理由はおろかいつ購入したのか、どこで購入したのかも覚えていない。
ただ、ずっと積読本の中で埋もれていた本である。
ホラー小説を数冊読んで、さて次は何読もうかなと積読本に目をやり、ずっとそこに居座り続けている本書を何気に手にしたのである。
夫との世界一周クルーズの最中、清子は暴風雨により孤島に流れついた。
その後、日本の若者、謎めいた中国人が同じ島に漂着する。
三十一人、その全てが男。
救出の見込みは依然なく、夫・隆も喪った。
だが、たったひとりの女には違いない。
求められ争われ、清子は女王の悦びに震える──。
東京島と名づけられた小宇宙に産み落とされた、新たな創世記。
驚いたことに、読み始めてなんだか知っている内容だった。
そして読み進めながら購入した理由を思い出した。
確かずいぶん前に「東京島」の映画を観た。
その映画があまりにも面白くなく退屈な映画で、そのつまらなさから僕の記憶には深く刻まれている。
古本屋で本書に巡り合い、「あのつまらなかった映画」の原作だと認識し、映画はあの出来だったけど原作はもしかしたら違うのかもしれない、と期待しての購入だった。
そりゃ内容をなんだか知っているわけだ。
さてさて。
映画はあんな感じだったけど原作はどうだったのか?
結論から言うと面白かった。
とても面白かった。
たぶんね、映画はエロシーン目的で観て、そんなシーンが全くなかったからがっかりしたんじゃないかなぁと思う。
で、原作もそんなエロシーンはほぼ無いんだけど、強かに生きる主人公の清子がすごいんだ。
男性だらけの社会でどう生きていくのか、を野生的に嗅ぎ分けて生きていく様がすごいんだよね。
「凄い」としか表現ができないんだけど、とにかく面白いの。
子供の頃「十五少年漂流記」を読んでいた気持ちを思い出したくらい。
いやぁ面白かったw
積読本もたまには漁ってみないとだなぁ。