犯罪ドキュメントを数冊読んで衝撃を受けた。
「現実は小説より奇なり」というとおり、犯罪ドキュメントはどんな小説よりも重くて暗くて酷い。
そしていろんな意味で残酷だ。
様々な情報が本を通して頭に入り込み、夢にまで出てきたりする。
そして読んだ後の疲労感とか気持ちの落ち込み方がハンパない。
だから読み続けることは辛すぎる。
世の中は楽しいことや幸せで溢れている。
だけどその反面、犯罪は常に起きていて僕らの知らないところでウネウネとのたうち回ってる。
その暗黒の世界を覗き見、知って考えることが僕らには大事なことのように思える。
だから続けて読むのは辛いけど、時折読むことにしている。
1969年4月23日に起きた少年による少年の殺人事件。
酒鬼薔薇事件同様、被害者は首を切断されていた。
犯人も被害者も高校一年生。
やはり読了後は気が重い。
犯罪ドキュメントと言うと、犯人の生い立ちや事件の顛末を具体的に記すものが多いなか、本作はガッツリ被害者家族のお話だ。
つまり加害者を守る少年法が被害者遺族をどれだけ苦しめるかというお話。
事件が起きたあと家族はどのように生きて、どのように苦悩し、不条理な現実をどのように折り合いをつけ受け入れているのか、そんな事が克明に記されている。
本作がきっかけで司法の世界に「被害者」という概念が生まれた、とあとがきにあった。
少年法にガッツリ守られる被疑者。
そしてプライバシーも守られず法の蚊帳の外の被害者遺族。
本作を読んで、被害者遺族の気持ちを分かったような気にはなれない。
とてもじゃないけど平和ボケしている僕には理解なんかできっこない。
だからこそ、国や法は被害者に寄り添うことが必要だと強く思った。
本作の中で一番心に重さを感じた言葉。
被害者のお姉さんの言葉だ。
「常識的な行動に、果たして人間として気持ちが込められているかといえば、そうでないことのほうが多い」
確かに。
我々は常識的というカタチだけの振る舞いに終始しているのかもしれない。