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残穢|小野不由美を読んで

小野不由美「残穢」 読書感想文

あらすじ

残穢は、ある読者から届いた「部屋で奇妙な音がする」という手紙をきっかけに始まる。
作家である“私”は、その現象の原因を探るうちに、土地や建物に積み重なった過去の出来事――いわば“穢れ”の連鎖にたどり着く。調査は次第に広がり、複数の人間の不幸や死が静かに繋がっていくことが明らかになっていく。


感想

とにかく、怖い。
派手な怪奇現象が起きるわけでもないのに、読んでいるうちに体の芯から冷えてくるような恐怖がじわじわと染みてくる。

正直、途中は少しだらけた。
調査の過程で似たような話が続く場面もあって、テンポが緩く感じる部分はある。でも、それでもページをめくる手は止まらない。なぜなら、その“退屈さ”の中にこそ、この作品の不気味さが潜んでいるから。

読み終わったあと、一人で部屋にいるのが少し怖くなる。
物音ひとつに敏感になって、「今の音、何だ?」と無駄に考えてしまう。そういう後を引く怖さが、この作品の一番の魅力だと思う。


考察

この作品の怖さは、“何かが出る”ことではなく、“過去が消えない”ことにある。

人が死に、場所が変わり、時間が経っても、そこにあった出来事は完全には消えない。そして、その痕跡が次の誰かに影響を及ぼしていく――そんな連鎖の構造が、まるで現実にもあり得そうで怖い。

また、作中では明確な解決が提示されない。
原因を突き止めても、それを断ち切る術がない。この「どうしようもなさ」が、読者に強い不安を残す。

いわば『残穢』は、“終わらない恐怖”の物語だ。
読み終えたあとも、ふとした瞬間に思い出してしまう。
そして、自分のいるこの場所にも、同じような“過去”があるのではないか――そんな想像をしてしまう時点で、もうこの作品の怖さからは逃げられていないのかもしれない。

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