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リバース|五十嵐貴久 を読んで

五十嵐貴久「リバース」 読書感想文

あらすじ

リバースは、『リカ』『リターン』に続くシリーズ第3作。
これまで描かれてきた“リカ”という存在を、これまでとは異なる視点と構造で描き出していく。
過去と現在、そして人物同士の関係が絡み合いながら、物語は思わぬ方向へと展開していく。やがて明らかになる事実は、これまでの出来事の見え方すら変えてしまう――。
リカの誕生秘話。


感想

今までの2冊とは、アプローチが全然違う。
その変化がまず純粋に面白かった。

リカが小学生から中学生になる頃のお話で、雨宮家に勤め始めた家政婦目線で物語が終始する。
そしてリカがどうやって誕生したのかがわかるお話だ。

シリーズものってマンネリになりがちだけど、『リバース』はしっかりと構造を変えてきていて、「こう来たか」と思わせてくれる。読んでいて新鮮さがあった。

ただ、ラストはやっぱり救いがない。
前作『リターン』に続いて、今回もかなり絶望的な終わり方で、読後の後味は重いまま残る。

展開については、ある程度予想できる部分もあった。
それでも面白さが損なわれることはなく、むしろ「やっぱりそうなるか…」という納得感とともに、じわじわと怖さが広がっていく感じが印象的だったものの、なるほど「リバースね」と納得のエンディング。

シリーズ3作目にして、まだ違う角度から攻めてくるのはさすがだと思う。


考察

『リバース』は、“構造で読ませる恐怖”にシフトした作品だと感じた。

これまでの2作は、リカという強烈な存在そのものが恐怖の中心にあった。
しかし今作では、その存在を取り巻く状況や関係性、そして物語の構造そのものが読者に不安を与えてくる。

タイトルの「リバース(反転)」が示す通り、これまで見えていたものが裏返るような感覚。
事実の捉え方が変わることで、同じ出来事でも全く違う意味を持ち始める。この仕掛けが、じわじわと効いてくる。

また、結末がある程度予想できるにもかかわらず、それでも絶望的に感じるのは、このシリーズ特有の“逃げ場のなさ”があるからだと思う。
どこかで希望を期待してしまう読者の心理を裏切りながら、確実に悪い方向へ収束していく。その流れ自体が恐怖になっている。

『リバース』は、シリーズの幅を広げる一冊であり、同時に“リカという物語の底の深さ”を感じさせる作品だった。
まだ終わらない――そんな不穏さを残したまま、次へと続いていく。


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