ふと読み始めた太田愛の「犯罪者」
その面白さに魅了されて調べてみると、どうやら同じ登場人物が出るシリーズ3部作であるとわかった。
「犯罪者」に続いて「幻夏」を読み、遂に最終話(現時点で)の本作「天上の葦」を読む。
ここまで一気に3作品も続けて読んだのは初めてかもしれない。
しかも「犯罪者」と本作「天上の葦」は上下巻がある長編である。
3作品と言えど冊数でいうと5冊だ。
前作ですっかり太田愛が好きであると自覚をする僕。
噛み締めながら本作を読む。
白昼、老人が渋谷のスクランブル交差点で何もない空を指さして絶命した。正光秀雄96歳。死の間際、正光はあの空に何を見ていたのか。それを突き止めれば一千万円の報酬を支払う。興信所を営む鑓水と修司のもとに不可解な依頼が舞い込む。そして老人が死んだ同じ日、ひとりの公安警察官が忽然と姿を消した。その捜索を極秘裏に命じられる停職中の刑事・相馬。廃屋に残された夥しい血痕、老人のポケットから見つかった大手テレビ局社長の名刺、遠い過去から届いた一枚の葉書、そして闇の中の孔雀……。二つの事件がひとつに結ばれた先には、社会を一変させる犯罪が仕組まれていた!? 鑓水、修司、相馬の三人が最大の謎に挑む。感動のクライムサスペンス巨編!
まず一言。
ブラボー!
正直なことを言うが、途中、中だるみがあった。
しかし、読了後に感じるのは、その中だるみの部分があったからこそ、読了後の満足感が大満足に変わった。
その中だるみの箇所は長い長い戦争についてのお話部分。
実は戦争モノのお話や映画が苦手である。
あまり歴史についてほとんど興味がなく学んでこなかったので、戦争についてはほとんど無知である。
だから戦争のお話になるとなんとなく苦手意識が働き、避けて生きてきた。
読み進めていくうちに次第に戦争の話が登場しだし、苦手意識が発令し出すと内容をあまり把握しないまま字面のみを追っていた。
あちゃー、戦争モノだったかぁと少し後悔をしながら読み進めていたんだけど、僕にしては珍しく段々理解しながら、そして感情移入しながら、遂には涙を抑えられなくなるくらいに没入して読み進めた。
僕のように歴史や戦争を知らない方が読む前提に構成されていたのではないだろうか?と思えるくらい、とても親切に読み手を導いてくれた。
戦争の酷さをしっかり教えてもらった。
最初、スクランブル交差点で老人が空を指差して倒れるところから始まる物語。
なんで空を指したのか?
戦争を知った上で、その行動の意味がわかった瞬間、涙が堪えきれなくなってしまった。
本作の最後はある方からの手紙で締めくくられる。
その手紙は涙なしでは読めない。
本当に良い作品だった。
感謝である。
これにて鑓水、修司、相馬が登場する3作品を読み終えた。
これで終わりではなく、もっと続いてほしいと思った。
とりあえず太田愛の作品はこれでひと段落。
他の積読本を読んで、またある程度期間を置いたら他の作品を読んでみようと思う。
太田愛、サイコーである。

