PR

掏摸|中村文則 を読んで

中村文則 著「掏摸」 【読書感想文】

中村文則の作品は「教団X」を読んだことがあるくらい。
その奇妙なお話は論理的でエンターテイメントだった。
また中村文則を読みたいと思いつつも、なかなかその機会に恵まれず、でもその経過する毎日の中でも中村文則は僕の頭の片隅にいて意識はしていた。

先日、ライブ後の打ち上げでたまたまインスタを交換したナオヤくん。
彼のフィードを見ると本がズラリ。
まさか音楽関係で本好きに遭遇するとは思ってなかったので、思わず本の話で大盛り上がり。

リアルの世界で本の話をする機会はなかなか無いのでスゲー楽しかった〜

そんなナオヤくんが僕にオススメしてくれたのが本作品。
まさかの中村文則だ。
その数日前に中村文則を読もうと「R帝国」を買ったばかり。
先にこちら「掏摸」を読むことにする。

あらすじ
東京を仕事場にする天才スリ師。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎、かつて仕事をともにした闇社会に生きる男。木崎は彼に、こう囁いた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、あの女と子供を殺す」――運命とはなにか、他人の人生を支配するとはどういうことなのか。

感想
先述したように僕は中村文則を「教団X」でしか知らない。
僕の中の中村文則は「教団X」が全てである。

本作「掏摸」を読んで数ページで思った。
「あれ?ちょっと違う」
僕が知っている「教団X」の中村文則とはちょっと違う。

もしかすると村上龍の作品ではないかと思うほどの文体と文字量。
一文字読み始めただけで読み手の都合は無視して強引にグイグイと引き込んでいく感じがパワフルだ。
最初の10ページほどで「これは面白い作品に出会ったぞ」と確信。

全く知らないスリの技術や手法がとてもリアルに記されていて、今まで全く関係がなかった世界を覗き見る喜びを覚えた。

そして読み進めていくと最近雰囲気の似た作品を読んだことに思い当たった。
佐藤究の「サージウスの死神」だ。

闇の世界に生きる主人公が圧倒的な力の持ち主と対峙する辺りとか何となく似てるし、人類とは?運命とは?を問いかける作品としても似ていると思った。

特に一人の少年の運命をコントロールした話はメチャ面白かった!!

さて。
本作の兄妹作として「王国」という作品があるらしい。
本作で登場した強烈なキャラクター木崎が再登場するらしい。
これは読まなきゃだな!

created by Rinker
¥550 (2025/07/16 23:58:35時点 楽天市場調べ-詳細)

タイトルとURLをコピーしました