辺見庸の「月」を読んだ。
今ちょうど映画もやってるし、原作を読んでから観に行こうと思い読み始めた。
とんでもない本だった。
数年前におきた障害者施設殺傷事件をモデルに構築された物語。
この「月」はきーちゃんと言う主人公の頭の中が文章として綴られている。
きーちゃんは施設に預けられている入所者。
目が見えず、話すこともできず、手足も動かないし動くことも出来ないし、表情すら全く作れない。
つまりヒトの形をした肉の塊。
だけど意識がある。
客観的には意識があるのかどうかも判断できないけど、きーちゃんの頭の中は確実に動いている。
そのきーちゃんの頭の中で考えていることや見たり聞いたり(実際には見えないけど)した世界が、物語の半分以上を締めている。
もう意味がわからない。
全く分からないカオスの世界がツラツラと綴られ、読み進めるのを諦めようかと何度か中断しかけた。
だけど読み終わってみると、この物語が僕に伝えてきたことは凄かった!
あの事件を元にここまで深く考えられる辺見庸の頭の中はどうなってるんだろうと思う。
僕たちは今まで「見ないようにしてきた」事と対峙する勇気を持たなきゃね。
さて、この本を読む限り映像化はまず無理でしょう。
絶対無理でしょう。
では映画はどうなっているんだろう?
少なくともストーリーはあるはず。
映画を観に行くのが楽しみ。
だけどなかなか時間が合わないなぁ。
DVDで観ることになるかなぁ。
残念だけど。