近親殺人 家族が家族を殺すとき|石井光太 を読んで

石井光太 著「近親殺人」 【読書感想文】

近年認知されている殺人事件は年間900件程。
その中で家族を主とした親族間での殺人事件は400〜500件ほどと割合は高いらしい。

残虐性が高く話題性がある事件ではなく、日々起きている殺人事件を調べている著者が7つに絞ってその事件内容を教えてくれる本書。

小説だと思って買ったけどそうではなかった。

家庭内という社会とは隔たれた家の中で、数十年にも及ぶ長い時間を経て蓄積された様々な出来事や思いが、結果的に殺人に至る話はとても陰鬱で気が滅入る。

どの家族も幸せな生活を夢みてある地へ引っ越したり、マイホームを建てたりして、その何十年間後に悲惨な結果で終わることはとても辛い。

読んでみるとどの家庭にでも起こりうる話だ。
自分の将来とか不安になる。

先日読んだ「小説8050」ともリンクする内容だ。

本を読んで肝に銘じたいことは、苦しくなったら他人を頼ること。
家庭の中で解決しようとしないこと。
多くの人が最終的にうつ状態になり、判断基準がおかしいまま、その場から逃げるために殺人や自殺を選択してしまう。
他人を頼って相談するだけでも違う選択ができるのでは無いかと思う。

とても暗く気が滅入るが、大きな社会問題だと思う。
ぜひ多くの人に読んでもらって、一緒に考えたい問題だ。

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