ある男|平野啓一郎 を読んで

平野啓一郎 著「ある男」 【読書感想文】

友人が映画を見て原作を読みたくなったらしく、その影響を受けて読み始めた作品。

あらすじ
ある日、夫の「大祐」が仕事中に事故で亡くなる。
悲しみに暮れる中、夫が「大祐」ではなく全く別人であることを知らされる。
夫の正体は誰なのか?なぜ嘘をつき続けたのか?
依頼を受けた弁護士視点で問われる愛の根源。
人のルーツと過去が与える愛への影響を問う。

感想
読み始めるとすぐに既視感を覚えた。
以前読んだ「本心」の作家さんだとすぐに気づいた。
なるほど〜、この作家さんは「愛」について問う作品が多いんだろうな。
「本心」では死んだ母をバーチャル空間で蘇らせて過去の記憶と向き合うことから「愛」の形を問う作品だったけど、今回も同じく過去の記憶と結びつけながら「愛」について問う作品。

話自体はドラマティックな展開などはあまり無く、自然と流れる時間の経過の中でことが進んでいく。
この時間の経過感がこの作家さんの特徴ではないかと思う。
とてもゆっくりと、日常の中の一場面一場面が主題に絡んでくる感じ。

読了時、公の場にいたのでグッと涙を堪えるのが大変でした。
引き続き映画も観てみようかな。
セリフの少ない作品なので、どのような映像、脚本になっているのか楽しみだ。

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