QJKJQ|佐藤究 を読んで

佐藤究 著「QJKJQ」 【読書感想文】

本屋に行くと本作と佐藤究の他作品「Ank:a mirroring ape」と「テスカトリポカ」「サージウスの死神」が並んで置いてあるわけですよ。

全てアート的な表紙に変わった本題で、なんだか小難しそうな雰囲気があるものの、本屋の中では一際目立っているから目について仕方がない。

とりあえず読んでみようかなと江戸川乱歩賞受賞作の本作を購入。

あらすじ
女子高生の亜李亜は猟奇殺人一家の一人として育つ。
家には殺人専用部屋があって、そこでは父も母も兄も殺人を繰り返している。
そんなある日、家の中で兄が殺されていて母も姿を消す。
その真相を探るために…

感想
タイトルと表紙のイメージ通り、少し哲学的で小難しい。
しかし読み応えは抜群だ。

猟奇殺人一家という突拍子もない設定から始まるものの、その展開は実に面白い。

だいたい半分強ほど読み終えると真相が見えてくるんだけど、そこからの言葉の渦に圧倒される。
少しずつ少しずつジックリとたっぷり解説が始まるんだけど、頭の中にジワジワとその考えが浸透していく感じ。

とっかかりはホラーまたはスプラッター的な要素が多いものの、真の伝えたいことであろう「人はなぜ人を殺すのか?」を徹底的に調べ尽くし、語源化し、学問とし、哲学する様は圧巻。
そしてまんざら架空のお話とも思えないリアル感がとても怖い。

あとがきで「ライバルはハリウッドじゃないピラミッドだ!」と言う本作の著者、佐藤究という人の頭の中を覗いてみたい。

続いて他の作品も読んでみようと思う。

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