以前友人に勧められて読んでなかった一冊。
まず一言。
ズシリと僕の心に響きました。
しかも重く重くかなり重く。
苦い記憶を揺さぶり起こされた一冊。
あらすじ
飲酒運転中に一人の老女をはねて、そのまま逃げてしまった翔太。
懲役4年の実刑。
出所後、妻を亡くした二三久が翔太に近づく。
罪を犯してしまった者の贖罪とは?
感想
普段はおちゃらけている僕も、実は人に話せない十字架を背負っている。
いざとなったら保身に走らず他人を救う自分でありたいと常々思っていたが、実際そんな場面に出くわすと真っ先に逃げだす自分がいた。
思考回路がおかしくなり、まともな判断もできなかった。
だから、この翔太の気持ちが痛いほど分かる。
怖くて怖くて仕方ないという感情、そして逃げている自分への嫌悪感。
常に怯えて息を殺しながら暮らす毎日。
読んでいて当時の僕の気持ちを思い出してしまい、ズシーンと心が重くなった。
作品の最後はいろんな事や人に救われるのだが、やはり自分に嘘をつくのは自分を苦しめるだけだよなと強く思った。
「亡霊は心の中にいる。罪を犯し、自分の心を偽る者は、不幸なことが起きれば自分への報いだと思ってしまう。」
重い言葉。
タイトルの「告解」という言葉を調べてみた。
信徒が神と司祭の前で犯した罪を告白すること、だそうだ。
贖罪に関する作品が多いらしい著者の作品を続けて読んでみたいと思う。
明日からは薬丸岳のデビュー作「天使のナイフ」を読み始めます。